「国語の教科書で学んだ物語で、一番心に残っているお話は?」
そう聞かれたら、何と答えますか?
『おてがみ』、『大造じいさんとガン』、『スーホの白い馬』…
さまざまな作品があげられますね。

ちなみに私は『ごんぎつね』です。
担任として教えていた時も、特に思い入れの強かった物語です。
そして、数々の作品の中でも有名なのが『スイミー』です。
そんな『スイミー』の作者・レオ=レオニの作品を、いくつ知っていますか?
今回は、国語の教科書に『スイミー』の関連本として紹介されているレオ=レオニの絵本を9冊紹介します。
レオ=レオニの絵本はたくさん出版されているので、家庭での並行読書にもおすすめです。
お子さんの読書意欲向上に、少しでも参考になれば嬉しいです。
・国語の教科書に載っている絵本が知りたい
・『スイミー』の作者レオ=レオニの絵本がもっと知りたい
・レオ=レオニの絵本グッズが知りたい
レオ=レオニとは?
レオ・レオーニ(LeoLeoni)
1910年オランダ アムステルダム生まれ。イラストレーター、グラフィックデザイナー、および絵本作家として、米国でもっとも活躍した芸術家のひとり。「あおくんときいろちゃん」(至光社刊)「スイミー」「フレデリック」「アレクサンダとぜんまいねずみ」「さかなはさかな」「うさぎをつくろう」「じぶんだけのいろ」(以上好学社刊)などの作品がある。1999年没。
絵本ナビ レオ・レオーニ(著者詳細情報)より引用
数多くの名作を生みだした絵本作家・レオ=レオニ。
色鮮やかであたたかみのあるイラストは、世界中で愛されています。

私たちがよく目にする日本語版はもちろん、英語やドイツ語、フランス語、中国語など、世界中の言葉に翻訳して出版されています。
レオ=レオニの絵本を多数翻訳している谷川俊太郎さんは、次のように話しています。
レオ=レオニの創り出す世界は、私たちにとってすでになじみ深いものでありながら、その新鮮さを失っていないように思えます。
『ひとあしひとあし』表紙見返しより抜粋
そんなレオ=レオニの代表作とも言えるのが、『スイミー』です。
『スイミー』とは?

<レオ=レオニ 作/谷川俊太郎 訳/好学社 刊>
広い海のどこかに、小さな魚のきょうだいたちが暮らしていた。
みんな赤いのに、一匹だけ真っ黒。
でも、泳ぐのは誰よりも速い。
名前は、スイミー。
ところがある日、お腹を空かせたまぐろがすごい速さでつっこんできた。
まぐろは一口で小さな魚たちを飲み込んだ。
逃げたのは、スイミーだけだった。
一人になってしまったスイミーは、怖く、寂しかった。
でも、海にはすばらしいものがたくさんあった。

「誰もが知っていると言っても過言ではないのでは?」というほど有名な『スイミー』。
国語の教科書で勉強したというお子さんも、親御さんも、たくさんおられるのではないでしょうか?
そして、レオ=レオニの絵本は『スイミー』の他にもたくさん出版されています。
その中から、令和6年度版国語の教科書で「関連本」として紹介されている、レオ=レオニの絵本を紹介します。
※今回は東京書籍と光村図書に掲載されている絵本を紹介しています。
教科書に載っているレオ=レオニの絵本
『あいうえおのき ちからをあわせたもじたちのはなし』

<レオ=レオニ 作/谷川俊太郎 訳/好学社 刊>
「あいうえおの木」と呼ばれる木がありました。
この木の葉っぱは文字でいっぱいだったので、そう呼ばれるようになりました。
文字たちは、葉っぱの上で楽しくくらしていました。
でも、今この木に葉っぱはありません。
何年か前の嵐で吹き飛ばされてしまい、残った文字たちもおびえて出てこれなくなってしまったからです。
そんなある日、通りかかったある虫が、隠れている文字たちに話しかけます。
「ぼくが言葉を作るのを教えてあげるよ」

副題の通り、文字たちが力を合わせて恐怖を乗り越え、大きく成長していく物語。
文字や言葉をどんどん覚えたい1年生の子どもたちにもおすすめの一冊です。
そして、物語を読み進めていくと、レオ=レオニがこの絵本にこめたメッセージが伝わってきます。

今の時代だからこそ、子どもたちに読んでほしい。
そんな一冊です。
あなたなら、文字たちと一緒にどんな言葉をつくりますか?
そんな話をしながら、親子で楽しんでみてはいかがでしょうか?
『ひとあしひとあし なんでもはかれるしゃくとりむしのはなし』

<レオ=レオニ 作/谷川俊太郎 訳/好学社 刊>
ちいさな緑色の虫。
この虫を知らない人はいないけれど、「しゃくとりむし」って名前があることは知らない人もいる。
そして、いつかこの名前がどんなに便利かわかるってことも。
ある日、お腹の空いたこまどりが、見つけたしゃくとりむしにとびつこうとした。
「食べないでくれよ。ぼくは便利なんだよ。いろんなものの長さをはかれるんだ。」
しゃくとりむしがそう言うと、こまどりは驚きます。
「ほんとかい!じゃあ、わたしのしっぽをはかっとくれ!」

こまどりに食べられそうになったしゃくとりむしは、自分の良さをアピールします。
こまどりのしっぽをはかった後も、いろいろな鳥のいろいろな部分をはかるしゃくとりむし。

どんな鳥の、どんな部分をはかるのか?
ページをめくるのが楽しみな気持ちになります。
物語の最後には、さまざまな想像ができる展開が待っています。
「なんで?」「どうして?」「どうなったの?」
親子で一緒にたくさんの想像をして楽しんでください。
『アレクサンダとぜんまいねずみ ともだちをみつけたねずみのはなし』

<レオ=レオニ 作/谷川俊太郎 訳/好学社 刊>
ねずみのアレクサンダは、今日も人間に追いかけられている。
たった一つ、二つのパンくずがほしいだけなのに、人間は悲鳴をあげて、ほうきで追いかけてくる。
ある日、家の中が留守になったとき、アレクサンダはアニーの部屋から音がするのを聞いた。
部屋に入ってみると、彼と同じようなねずみがいたのだ。
でも、そのねずみはふつうのねずみじゃない。
足の代わりに二つの車がついていて、背中にはネジがある。
「きみ、だれ?」
「ぼく、ウィリー。ぜんまいねずみ。アニーのお気に入りのおもちゃさ。」

ぜんまいねずみのウィリーと出会ったアレクサンダは、仲良しになります。
お互いにたくさんの話をして、楽しい時間を過ごすのですが…。

アレクサンダは、仲良くなったウィリーと過ごすうちに、ある思いが募り始めます。
実は、2匹それぞれが悩みを抱えているのです。
「ついつい人と比べて落ち込んでしまう」という方。
この絵本を読むと、「私にとっての幸せって?」と考えさせられます。
友だちを見つけた2匹のねずみたちにとっての幸せは?
そして、あなたとお子さんにとっての幸せとは?
この絵本を通して、一度じっくり考えてみてください。
『コーネリアス たってあるいたわにのはなし』

<レオ=レオニ 作/谷川俊太郎 訳/好学社 刊>
たまごがかえって、わにのこどもたちが出てきました。
みんな這い出してくるのに、コーネリアスだけは立って歩いて出てきました。
大きくなって、どんどん強くなるコーネリアスは、ますます這わなくなります。
立つことができる彼には、他のわにたちには見えないものが見えます。
「ぼくは、草むらのずっと向こうが見える!」
しかし…
「それがどうしたっていうのさ?」「へぇ、それで?」
何を言ってもつれない態度の他のワニたち。
コーネリアスは腹が立ち、出ていくことに決めたのです。

「自分だけが立てる」「自分だけが見える」
他のみんなに褒めてもらいたい、認めてもらいたいコーネリアスでしたが、みんなはどこかイライラした様子。

「ほめてもらいたい」コーネリアス。
「自慢話ばっかり」とうんざりな他のワニたち。
どちらの気持ちもわかりますよね。
互いの思いがすれ違ったとしても、素直な思いを理解し合えればきっとまた仲良くなれる。
そんなことを教えてくれる絵本です。
さて、コーネリアスと他のワニたちが互いに分かり合える日は来るのでしょうか?
『じぶんだけのいろ いろいろさがしたカメレオンのはなし』

<レオ=レオニ 作/谷川俊太郎 訳/好学社 刊>
おうむはみどり。
きんぎょはあかい。
動物たちはそれぞれ、自分の色があります。
でも、カメレオンは別。
なぜなら、いく先々で色が変化するからです。
ある日、一匹のカメレオンが気づきました。
「ずっと葉っぱの上で暮らしたら、ずっと緑色。ぼくも自分の色を持てる。」
大喜びで緑の葉っぱによじ登ったカメレオン。
しかし、季節が変わると…

自分だけの色が持ちたいカメレオンでしたが、なかなかうまくいきません。

カメレオンにとっては「色」でしたが、私たち人間にも「自分を表す、自分だけの何かを持ちたい」という気持ちはあるのではないでしょうか?
この絵本の副題は「いろいろさがしたカメレオンのはなし」です。
自分だけの色が見つけられないカメレオンは、いったい何を探し、何を見つけたのでしょう?
そして、もしあなたがカメレオンだったら、何を探し、何を見つけたいですか?
『フレデリック ちょっとかわったのねずみのはなし』

<レオ=レオニ 作/谷川俊太郎 訳/好学社 刊>
古い石垣の中に、おしゃべりなのねずみの家がありました。
もうすぐやってくる冬に備えて、小さなのねずみたちは食べ物を集め始めます。
みんな、昼も夜も働きました。
ただ、フレデリックだけは別。ちっとも働かないのです。
他ののねずみたちがたずねます。
「どうして君は働かないの?」
「こう見えたって、働いているよ。」
フレデリックは答えます。
「寒くて暗い冬の日のために、お日様の光を集めているんだ」

レオ=レオニの作品の中でも人気キャラクターのフレデリック。
なぜ働かないのか問われた後も、色を集めたり、言葉を集めたりと、あいかわらずの様子。
みんなが働く中、一見じっとしているだけにも思えますが…。

実はフレデリックの行動にはちゃんと意味があったのです。
はたして、冬を迎えたフレデリックやのねずみたちは、いったいどうなるのでしょうか?
他とちょっと違うことをして怒られてしまった、なんて経験があるお子さんもいるのでは?
そんな子どもたちにこそ、この絵本を読んで自信をもってもらいたいです。
『さかなはさかな かえるのまねしたさかなのはなし』

<レオ=レオニ 作/谷川俊太郎 訳/好学社 刊>
池の中に、おたまじゃくしとこざかなが泳いでいた。
二匹はとても仲良しだった。
ところが、次第におたまじゃくしには足がはえ、かえるの姿に近づいていく。
おたまじゃくしの成長の早さが認められないこざかな。言い合う二匹。
するとおたまじゃくしがこんなことを言った。
「かえるはかえる、さかなはさかな、そういうことさ!」
やがておたまじゃくしはかえるへと成長し、外の世界へ飛び出していった。
何日も過ぎてから、ようやく池に戻ってきたかえるの話を聞くと…

かえるから外の世界の話を聞いたこざかな。
鳥や牛、人間たちの話を聞くのですが、一度も見たことのないこざかなは想像するしかできません。
それでも、夜も眠れないほど想像をふくらませるのです。
そんなこざかなが起こした、ある行動とは…?

「かえるはかえる、さかなはさかな」
この言葉の意味とは?そこに込められた作者の思いとは?
絵本を通してじっくり考えてみてください。
色鮮やかに描かれたイラストにも注目です。
『せかいいちおおきなうち りこうになったかたつむりのはなし』

<レオ=レオニ 作/谷川俊太郎 訳/好学社 刊>
おいしそうなキャベツに、かたつむりが住んでいました。
かたつむりたちは、背中に家を背負っているので、ごはんのたびに葉っぱから葉っぱへと引っ越します。
ある日、ちびかたつむりがお父さんにこんなことを言いました。
「大人になったら、世界一大きなうちがほしいな」
「うどのたいぼく」
りこうなお父さんはそう言うと、ある話を始めました。
それは、「世界一大きなおうち」の話でした。

世界一大きなおうちの話とは、いったいどんなお話なのでしょうか?
そして、お父さんからお話を聞いたちびかたつむりはどんなことを考えたのでしょうか?
あなたもこのお話を聞くと、きっとちびかたつむりと同じ気持ちになりますよ。

「世界一大きなうちがほしい」だなんて、一見ステキな夢のように思うのですが…。
もしあなたがかたつむりなら、どんなおうちがほしいですか?
『おんがくねずみジェラルディン はじめておんがくをきいたねずみのはなし』

<レオ=レオニ 作/谷川俊太郎 訳/好学社 刊>
ジェラルディンは、今まで音楽を聞いたことがなかった。
音ならたくさん聞いたことがある。でも、音楽はなかった。
ある朝、住んでいる空き家の台所で、見たこともないような大きなチーズを見つけた。
一人では運べないので、隣に住んでいる友だちを呼んできた。
そして、みんなでジェラルディンの隠れ家にチーズを運び込んだ。
ジェラルディンは手伝ってくれたお礼に、チーズを切り出して友だちにあげることにした。
どんどんチーズを切り出していくと、チーズの中からあるものが現れた。
それは、フルートを吹くねずみの姿だった。

ジェラルディンが切り出したチーズのねずみは、自分のしっぽをフルートにしていました。

「フルートを持ったねずみ」ではなく、「自分のしっぽをフルートにしていた」というところがポイントです。
その姿を見たジェラルディンに、その晩、不思議なことが起こるのです。
はたして、「はじめておんがくをきいたねずみのはなし」の結末とは?
ジェラルディンの思いの強さにも注目です。
レオ=レオニの絵本グッズにも注目!
かわいらしいイラストが愛されるレオ=レオニの絵本。
そんなレオ=レオニの絵本グッズもたくさん販売されています。
絵本ナビでは、人気キャラクターたちのグラスが販売されています
<絵本ナビ>レオ=レオニ スイミーグラス


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まとめ
今回は『スイミー』の作者レオ=レオニの絵本を紹介しました。
『スイミー』が大好きなお子さんは、ぜひレオ=レオニの作品を追いかけて、たくさん読み進めてください。
お子さんの絵本や読書に対する思いがより強くなりますよ。
反対に、「読書は苦手」というお子さんも、教科書に載っているお話なら興味をもちやすいです。
少しでも興味をもったなら、「もっと読んでみる?」と、ぜひ声かけしてみてください。
苦手意識が薄まるきっかけになるかもしれませんよ。
また、レオ=レオニの作品は、大人も子どもも楽しめるものばかりです。
一人読みはもちろん。
おうちの方が読み聞かせをして、親子で絵本を楽しむのもステキですね。
たくさん会話しながら、レオ=レオニの世界を満喫してみてはいかがでしょうか?
〇●今回紹介した本●〇
◆『スイミー』
<レオ=レオニ 作/谷川俊太郎 訳/好学社 刊>
◆『あいうえおのき』
<レオ=レオニ 作/谷川俊太郎 訳/好学社 刊>
◆『ひとあしひとあし』
<レオ=レオニ 作/谷川俊太郎 訳/好学社 刊>
◆『アレクサンダとぜんまいねずみ』
<レオ=レオニ 作/谷川俊太郎 訳/好学社 刊>
◆『コーネリアス』
<レオ=レオニ 作/谷川俊太郎 訳/好学社 刊>
◆『じぶんだけのいろ』
<レオ=レオニ 作/谷川俊太郎 訳/好学社 刊>
◆『フレデリック』
<レオ=レオニ 作/谷川俊太郎 訳/好学社 刊>
◆『さかなはさかな』
<レオ=レオニ 作/谷川俊太郎 訳/好学社 刊>
◆『せかいいちおおきなうち』
<レオ=レオニ 作/谷川俊太郎 訳/好学社 刊>
◆『おんがくねずみジェラルディン』
<レオ=レオニ 作/谷川俊太郎 訳/好学社 刊>
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