【簡単紹介・考察ヒント】2024年度読書感想文・課題図書(小学校)全12冊紹介

絵本・児童書

夏休みの読書感想文。

気が重い子もいるかもしれませんが、たくさんの本と出会えるチャンスでもあります。

そして、本を通して自分の考えを広げたり深めたりできる、良い機会です。

そこで、ここでは2024年度読書感想文コンクールの課題図書(小学生の部)全12冊を紹介します。

それぞれの本の簡単な内容紹介とあわせて、どんなことを考えながらよむと良いのか、考察のヒントもお伝えします

読書感想文を書く際に、少しでもヒントになれば幸いです。

読書感想文に限らず、

「せっかくの夏休み、ただ本を読んで終わりではもったいない!」という方もおられますよね。

そんなみなさまの、親子でじっくり考える“お話のタネ”になれば嬉しいです。

こんなときにおすすめ

・2024年度読書感想文コンクールの課題図書(小学生の部)が知りたい

・課題図書の簡単な内容、あらすじが知りたい

・どんなことを考えながら読むといいのか、考察のヒントが知りたい

当ブログではこの他にも「読んで考えたい本」「読書感想文におすすめの本」を紹介しています。

よければこちらもあわせて参考にしてください。

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低学年の部

『アザラシのアニュー』

『アザラシのアニュー』
<あずみ虫 作/童心社 刊>
かんたん紹介

寒い冬のある日。

タテゴトアザラシの赤ちゃんが生まれました。

赤ちゃんの名前は、アニュー。

お母さんがつけてくれた名前です。

大好きなお母さんと、これからずっと一緒にいたいアニューでしたが…

タテゴトアザラシの赤ちゃん・アニューは、お母さんが大好き。

たくさんおちちをもらって、どんどん成長していきます。

からだは大きくなっても、お母さんと片時も離れたくないアニューで。

しかし、ある日突然、お母さんと離れなければならないときがやってくるのです

こんなことを考えてみては?
~考察のヒント~

●お母さんと離れることになったアニューは、どんな気持ちだったか?
 →さみしい、悲しい、つらい、どうして…など
 →自分も経験(留守番、初登校日など)があれば、そのときの気持ちを表現するのも◎

●外の世界を知ったアニューは、どんな気持ちだったか?
 →嬉しい、怖い、ワクワク、心細い、期待、不安…など(理由も)

●これまでに自分の成長を感じたことがあったか?
 →一人でできるようになったこと、初めて一人で〇〇したときのこと…など
 →そのときの気持ち
 →その後の自分、これからの自分

タテゴトアザラシのアニューの親離れ、そして成長を描いた絵本

親離れのシーンは、アニュー目線はもちろん、親目線で見ても心が苦しくて、涙が出ました。

子どもの一人立ちや成長、一人でできるようになったこと、新しく見えた世界…など。

お子さんが小学生になってからできるようになったことなどを一緒に思い返しながら、親子で読んでほしい一冊です。

また、あとがきにもありますが、タテゴトアザラシなど様々な動物たちを取り巻く環境問題にスポットを当てて考えてみると、違った見え方・学びがあります。

『ごめんねでてこい』

『ごめんねでてこい』
<ささきみお 作・絵/文研出版 刊>
【写真引用:文研出版
かんたん紹介

今日から大好きなおばあちゃんと一緒に暮らせることになった、主人公のはなちゃん。

おばあちゃんとの生活は、楽しいことや嬉しいことでいっぱい!

その一方で、今までの生活との違いに、少しずつモヤモヤがつのっていきます。

そんなある日。ついにおばあちゃんに対するはなちゃんの不満が爆発する出来事が起こってしまうのです。

期間限定でおばあちゃんと同居することになったはなちゃん。

大好きなおばあちゃんと暮らす毎日が楽しい一方で、おばあちゃんに様々なことを指摘されるようになったはなちゃんは心のモヤモヤがつのっていきます。

そんなとき、ある出来事が起こって…

こんなことを考えてみては?
~考察のヒント~

●はなちゃんのように、おばあちゃんに毎日いろいろなことを指摘されたらどう思うか
 →嫌な気持ちになる、嬉しい気持ちになる、頑張ろうと思う、誰かに相談する…など

●自分も家族にたくさん・何度も注意されたことがあったか?
 →そのときどんな気持ちになったか、自分はどうしたか、その後どうなったか

●今までに「ごめんね」が出てこなかったことはあったか?
 →どんな場面で/誰に対して/そのときどうした/その後どうなった/これからの自分…など
 →家族、友だち、先生…誰との出来事でも◎

低学年の読み物ですが、大人が読んでも胸がぎゅっとなるお話です。

「どうなっちゃうの⁉」とドキドキしたり、涙が出たり…私も読んでいてグッとくるものがありました。

お話が実生活にありそうな展開なので、子どもたちも共感しやすいと思います。

自分の「ごめんねでてこい」エピソードを思い浮かべながら読んでみると、物語のイメージがわきやすいかもしれませんね。

『おちびさんじゃないよ』

『おちびさんじゃないよ』
<マヤ・マイヤーズ 文/へウォン・ユン 絵/
まえざわあきえ 訳/イマジネイション・プラス 刊>
かんたん紹介

「テンちゃんはおちびさんだから」

家でも、学校でも、外出先でも、そんなふうに言われるテンちゃん。

「私はおちびさんなんかじゃないもん!」

そんなある日、テンちゃんのクラスに転校生・マルくんがやってきました。

「もしかして、私より小さいかも⁈」

そんなことを考えていたら、いじめっこがマルくんに近づいて…

「からだが小さいから」と、おちびさん(子ども)扱いされるのが嫌な主人公・テン

家族の中で一番小さくても、クラスの中で一番小さくても、私はなんだってできるし何でも知ってる!

そんなテンが、自分より小さいかもしれない転校生・マルと出会い…

こんなことを考えてみては?
~考察のヒント~

●おちびさん扱いされるテンを見て、どんなことを思った?
 →おかしい、嫌だ、仕方ない、自分も同じことがあった…など(理由も)

●マルくんがいじめられそうになっていたとき、自分ならどうするか?
 →止める、見てるだけ、見ないふりをする、何もできない…など(理由も)

●おちびさん(子ども)扱いされて嫌だったことや、自分の見た目のことでからかわれて嫌だったことは?
 →そのときどんなことを思ったか、自分はどうしたか
 →“おおもの”になるにはどうしたらいいか

「子ども扱いされたくない」「大人やきょうだいと同じように見てほしい」という子ども心を描いた絵本。

私自身、子どもの頃は背が低くて、おちびさん扱いされるのが嫌なテンに共感できることがたくさんありました。

テンのように背が低かったり、見た目に何らかのコンプレックスを抱えるお子さんはぜひ読んでほしい一冊です。

そして、“おおもの”になるにはどうしたらいいのか?

親子でゆっくりお話ししてみてはいかがでしょうか。

“おおもの”がどんな人のことを指すのか考えてみるのもおもしろいですね。

『どうやってできるのチョコレート』

『どうやってできるの?チョコレート』
<田村孝介 写真/立協卓 監修/ひさかたチャイルド 刊>
【写真引用:ひさかたチャイルド
かんたん紹介

子どもたちが大好きな、チョコレート。

いったい何からできているのかな?

どうやっておいしいチョコレートになるのかな?

チョコレートの原料・カカオがチョコレートになるまでを見てみよう!

この絵本では、カカオが板チョコになるまでの変化を追っています。

カカオの実の中身や、工場に届けられるまでの様子。

そして、工場でどんな過程を経てチョコレートになるのかがよくわかる一冊です。

こんなことを考えてみては?
~考察のヒント~

●(絵本を読む前に)チョコレートって、どうやってできると思うか?
 →何から(原材料)できているか
 →どんなふうにチョコレートになるのか(砕く、炒める、溶かす、煮る、焼く、蒸す…など)

●チョコレートができるまでの様子で、心に残った場面は?
 →驚いたこと、初めて知ったこと、意外だったこと、疑問に思ったこと…など

●チョコレートの他に、作り方を知りたいものは?
 →食べ物、文房具、ゲーム機、服、学用品、日用品…など
 →実際に自分で調べてみると、より興味が深まりやすい
 →食べ物なら、チョコレートができるまでの様子と比較して、違いを見つけるのも◎

「よく食べているチョコレートが、実は何度も姿かたちを変えてできている」ということに初めて気づく子もいますよね。

そこから派生して、身近にあるもので自分の興味があるもののでき方を調べてみてはいかがでしょうか?

もしそれが食べ物なら、チョコレートができるまでの過程と比較して、違いを見つけるのも楽しいと思います。

中には、今までに工場見学などに行って、実際に見聞きした経験がある子もいると思います。

そのときの経験とこの絵本で学んだことをあわせて、物のでき方に対する興味をより深められるといいですね

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中学年

『いつかの約束1945』

『いつかの約束1945』
<山本悦子 作/平澤朋子 絵/岩崎書店 刊>
かんたん紹介

ある夏の日、みくとゆきなは道端でおばあちゃんと出会いました。

具合が悪そうなおばちゃんに「大丈夫?」と声をかける2人。

しかし、おばあちゃんからの返事は…

「あたし、おばあちゃんじゃない。関根すず。9歳!」

おばあちゃんなのに9歳って…いったいどういうこと⁉

夏休みに起こった不思議な出来事を描いた物語。

どこからどう見てもおばあちゃんの姿をしているのに、「自分は9歳だ」と言い張る女性。

みくとゆきなは「認知症?」「誰かと入れ替わった?」など、さまざまなことを考えます。

そして、その真相を探るべく、9歳のおばあちゃんと一緒に街を歩きまわるのですが…

こんなことを考えてみては?
~考察のヒント~

●もし9歳のおばあちゃん(関根すずちゃん)に出会ったら、自分ならどうするか?
 →お話する、案内する、〇〇してあげたい…など

●おばあちゃんの正体を知ったとき、2人はどんなことを考えたか?自分ならどんなことを考えるか?
 →もっと〇〇したかった、〇〇の話がしたかった、〇〇してあげたかった…など

●戦争について、知っていることや考えたことはあるか?
 →今の自分が知っていること/本を読んで考えたこと/これから調べてみたいこと/実際に調べてみて考えたこと…など
 →調べ学習につなげると、より考えが深まる◎

実は、この物語には戦争が関わっています

戦争と聞くと重い話のイメージがあるかもしれません。

でも、この本は、ゆきなとみくの明るさと前向きさが描かれていることで、それほど重すぎず、さわやかで読みやすい印象でした。

平和学習への関心を深める第一歩におすすめの一冊です。

関根すずちゃんの正体、そして夏の不思議な体験が迎えた結末に注目です。

『じゅげむの夏』

『じゅげむの夏』
<最上一平 作/マメイケダ 絵/佼成出版 刊>
かんたん紹介

待ちに待った4年生の夏休み。

主人公・あきらと、山ちゃん、シューちゃん、かっちゃんは、いつも仲良し4人組。

今日もいつも通りかっちゃんの部屋に集まります。

かっちゃんは、将来落語家になる夢をもつ、筋ジストロフィーの男の子。

そんなかっちゃんが3人に言います。

「4年生の夏を最高の夏休みにしよう!」

こうして、4人の冒険いっぱいな夏が始まったのです。

4人の仲間たちが過ごした夏の日々を描いた物語です。

かっちゃんは筋ジストロフィーですが、他の3人は「筋ジストロフィーだから」と特別扱いすることも遠慮することもありません。

でも体のことをしっかり理解して、歩くペースを合わせたり、かっちゃんが無理のないよう配慮したりしています。

それが特別なことではなく、4人にとっては当たり前のことなのです。

そうやって互いに支え合い、笑い合いながら毎日過ごしています。

そんな中、かっちゃんがある決意を3人に伝えるのですが…

こんなことを考えてみては?
~考察のヒント~

自分がこの4人の仲間だったら、一緒にどんなことをしてみたいか?
 →物語の中に出てくることでも、違うことでも◎

かっちゃんの決意を聞いて、自分ならどうするか?
 →止める、賛成する、誰かに相談する(理由も)

●友だちのこと、病気のことについて、身近にあった出来事は?自分の気持ちは?
 →友だちや病気を抱える人との出会い・体験談、そのときの思い、今の自分の思い、これからの自分…など

夏の様々な出来事が描かれている一冊。

「夏を目一杯楽しもう」と夏休みを満喫する4人。

そんな中、「かっちゃんが筋ジストロフィーだ」という現実に向き合わなければならないことが起こります

「今年がラストチャンスって気がするんだよ」と話すかっちゃん。

そこには命について考えさせられる場面も…。

4人と一緒に夏の冒険を楽しみながらも、考えさせられることがたくさんある物語です。

『さようなら プラスチック・ストロー』

『さようならプラスチックストロー』
<ディー・ロミート 文/ズユェ・チェン 絵/
千葉茂樹 訳/光村教育図書 刊>
かんたん紹介

今から5千年以上も昔。

ビールを飲むための道具として、葦を使うことをひらめいた古代シュメール人。

それがストローの始まりだった。

1960年代にはプラスチックのストローが世界中に広まった。

プラスチックの普及により、どんどん便利になる世の中。

しかしその一方で、海は汚れ、生き物たちは住処をなくしていく…

普段当たり前のように使っているストロー。

最近は紙ストローを提供するお店が増えてきました。

でも、どうしてプラスチックストローではダメなのでしょうか?

こんなことを考えてみては?
~考察のヒント~

●「たったいちど使われ捨てられたものが、おそろしいほど長い時間のこりつづける」という言葉から、どんなことを考えたか?
 →自分の生活、身の回りのものに、プラスチックがどれほどあるか?それが残り続けるということはどういうことか?
 →自分にできることは何か

●マイロ・クレスの行動を知り、どんなことを考えたか?
 →自分にも同じような行動が起こせるか、行動を起こそうと考えたことがあったか
 →実際に行動に起こしたことがあれば、どんな行動をとったか

●「あなたは、世のなかをどのように変えたいのか決めなければならない」という言葉から、どんなことを考えたか?
 →自分は世のなかをどのように変えたいと考えるか
 →そのために、どんなことをしなければならないか

プラスチックストローを入り口に、環境問題、SDGsについて考える絵本です。

ストローの変遷について具体的に学ぶことができるので、大人も勉強になることがたくさんあります。

「夏休みの間に何本のストローを手にするのか」、「お店に並ぶ紙ストローとプラスチックストローの比率」など、実際に調べてみるのもいいですね。

この絵本をきっかけに、今までの自分を振り返り、これからの自分を考えてみましょう。

そして考えるだけでなく、1つでも実際に行動にうつすことができるとステキですね!

『聞いて聞いて!音と耳のはなし』

『聞いて聞いて!音と耳のはなし』
<高津修・遠藤義人 文/長崎訓子 絵/福音館書店 刊>
かんたん紹介

声はどうやって出すの?

音はどうやって生まれるの?

生まれた音は、どうやって私たちの耳に伝わるの?

人と動物では、音の出し方も聞き方も違いがあるの?

音と耳のはなし、君はいくつ知っているかな?

私たちは毎日、様々な音を耳にしています。

その音の仕組みについて、じっくり考えたことはありますか?

音は、いったいどんなふうに私たちの耳に届いているのでしょうか?

こんなことを考えてみては?
~考察のヒント~

●実際に聞いてみたい音、比べてみたい音はあるか?
 →動物、高い・低い、楽器の大きさによる違い…など

●絵本の中に出てくる実験で、自分もやってみたい実験は?
 →なぜその実験をやってみたいと思ったのか
 →(実際に体験したことがあれば)そのときどんなことを感じたか

●あとがきより「なぜ、耳は2つある?」の問いについて、自分が考えたことは?
 →難しく考えず、絵本を読んで考えた自分の思いを表現すれば◎

音と耳の仕組みについて、とてもくわしく描かれた絵本です。

大人も初めて知るような話がたくさんありますが、イラストがたくさん描かれているのでわかりやすく学ぶことができます。

あまり難しく考えず、絵本を読んで初めて知ったことや疑問に思ったこと、驚いたことなど、自分の素直な思いを大切にしてもらいたいです。

読書感想文を意識するなら、そういった思いをメモしながら読み進めるといいかもしれません。

また、自分もやってみたい実験があれば、自由研究とリンクして挑戦してみるのも面白そうですね。

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高学年

『ぼくはうそをついた』

『ぼくはうそをついた』
<西村すぐり 作/中島花野 絵/ポプラ社 刊>
かんたん紹介

主人公・リョウタは、両親とシゲルじいちゃんと一緒に暮らしていた。

ある日、シゲルじいちゃんのお父さんの遺言が入った箱が出てきた。

その中には、シゲルじいちゃんの兄・ミノル兄さんの遺品が入っていた。

ミノル兄さんは原爆の被害にあい、13歳という若さで亡くなった。

亡くなったその姿も見れず、骨も見つからず。

残ったのは、この遺品だけ…。

シゲルじいちゃんは、ミノル兄さんが亡くなった原爆投下後のことを、リョウタに話し始めた。

これは主人公・リョウタの祖父・シゲルじいちゃんが、ヒロシマの原爆を体験したときの話が軸となっている物語です。

作者の母親が、作中に出てくる“原爆投下時の学校の先生”のモデルとなっていることもあり、リアルな描写で当時の出来事が描かれています。

こんなことを考えてみては?
~考察のヒント~

●シゲルじいちゃんの体験談を聞いて、どんなことを考えたか?
 →「自分と年の変わらない子どもたちが体験した話」として考える
 →今の自分が同じ体験をしなければならないとしたら?

●ぼろぼろになった建物を修復して残した人々の思いとは?
 →彼らが伝えたかったことは、どんなことだったのか
 →その思いは、今も伝わっていると思うか

●自分たちにできることは何か?
 →知ること/見ること/考えること/伝えること…など

当時の小学6年生と4年生が、被爆後にどんなことをしていたのか。

自分と年の変わらない子どもたちの生活を知ることで、どんなことを考えたか。

そして、これからの自分にできることは何か。

夏休みにはテレビやYouTube、新聞など、さまざまな場面で戦争について知る機会が増えると思います。

この本をきっかけに、戦争、原爆、そして平和について、親子でじっくり考えてみてはいかがでしょうか?

『ドアのむこうの国へのパスポート』

『ドアの向こうの国へのパスポート』
<トンケ・ドラフト、リンデルト・クロムハウト 作/
リンデ・ファース 絵/西村由美 訳/
岩波書店 刊>
かんたん紹介

新しい学年が始まって、約一か月。

主人公・ラウレンゾーのクラスは、今日もにぎやか。

ある日、担任のトム先生が読んでくれるお話の作家・アケノミョージョに、クラスを代表して会いに行くことになった。

ドキドキしながら訪ねた家には、1か所、鍵のかかったドアがあった。

「あのドアの向こうは、特別なパスポートを持った人しか入れないの」

特別なパスポートって?

ドアの向こうにはいったいどんな世界が待っているの?

はたして、ラウレンゾーとクラスの仲間たちは、ドアの向こうに入ることができるのか…?

ラウレンゾーのクラスには、10人の子どもたちとトム先生がいます。

みんなそれぞれに個性があり、さまざまな家庭事情を抱えています。

ひょんなことからラウレンゾーがクラスの代表となって、アケノミョージョの家を訪ねることになります。

そしてそこでの出会いが、ラウレンゾーやクラスのみんなの毎日を少しずつ変えていくのです。

こんなことを考えてみては?
~考察のヒント~

自分なら、どんな国ビザをつくるか?
 →なぜその国があれば良いと思ったのか(理由も)

●ドアの向こうの世界を見た(知った)とき、どんなことを考えたか?
 →想像通りだった、想像と全然違った、もし自分がその場にいたら…など

●(1学期を終えて)自分のクラスや先生、友だちのことについて考えたことは?
 →印象が変わったこと/新たに知った一面/4月当初からの変化…など(これまでのこと)
 →これからどんな関係を築きたいか/どんなクラスにしたいか…など(これからのこと)

本のタイトルにもなっていますが、「ドアの向こうの国」が物語のカギになっています。

ラウレンゾーやクラスの仲間たちは、ドアの向こうの国を見るために、さまざまな課題に向き合います。

そして、その課題を通してさまざまなことに気づき、成長していくのです。

はたして、ドアの向こうの国とは?

本の世界に浸って、ラウレンゾーたちと一緒に想像とワクワクを楽しんでください。

そしてラウレンゾーたちのように、自分の周りの人たちのことを見つめ直すきっかけになればいいですね。

『図書館がくれた宝物』

『図書館がくれた宝物』
<ケイト・アルバス 作/櫛田理絵 訳/徳間書店 刊>
かんたん紹介

物語の舞台は、第二次世界大戦時のロンドン。

ウィリアム、エドマンド、アンナの3きょうだいは、親を亡くし、親代わりだった祖母まで亡くしてしまう。

3人きりの家族となってしまった今、保護者となる“後見人”がいなければ、遺産を手にすることもできない。

そこで3人は、弁護士に提案された学童疎開に参加することになった。

その疎開先で、後見人になってくれる新しい家族に出会えるかもしれない!

…しかし、疎開先での生活はとても厳しい毎日だった。

どんなに辛くても、苦しくても、悔しくても、他に行く当てはない。

そんな3人の心の支えとなったのは、村の図書館だった。

第二次世界大戦中ということもあり、話の内容は重めです。

ウィリアムたち3人は厳しい生活を強いられますが、何が起きても我慢するしかありません。

そんな3人は本が好きなこともあり、図書館に通うようになります。

そして、図書館で働くミュラーさんに会えるのも、3人にとって癒しのひと時でした。

こんなことを考えてみては?
~考察のヒント~

3人の厳しい暮らしについて、どんなことを考えたか?
 →かわいそう、納得できない、仕方がない、自分なら〇〇する…など

●本のタイトル「図書館がくれた宝物」より、3人にとっての宝物とは?
 →これをふまえて、自分にとっての宝物について考えてみるのも◎

(あとがきより)自分にとって家族とは何か?
 →どんな存在か(支え、励み、力の源、癒し、宝物…など)
 →それを感じたエピソードがあれば、そのときどんなことを考えたか
 →これからの自分・家族はどうありたいか

物語を読みながら、3人の辛い境遇に涙が出る場面がたくさんありました。

今も戦争や内紛で、世界中には同じような思いをしている子どもがたくさんいるかもしれません

そういったテーマで考えを深めるのも良いと思います。

この本を通して、自分にとっての当たり前が、当たり前でないことに気付くことができます

日々の暮らしのこと、そばにいる家族のこと。

この機会に、親子でじっくりお話してみてはいかがでしょうか?

『海よ光れ!3・11被災者を励ました学校新聞』

『海よ光れ!3・11被災者を励ました学校新聞』
<田沢五月 文/国土社 刊>

かんたん紹介

大きな被害をもたらした、東日本大震災。

大沢小学校は、震災発生直後から避難所となった。

昨日まで、ついさっきまで、友だちと一緒に過ごした毎日が一変した。

学校に寝泊まりする毎日。

十分な食事も睡眠もとれず、中には家族と離れ離れのままの人もたくさんいた。

そんな生活を送りながら、大沢小学校の子どもたちは何を考え、どんな行動を起こしたのだろうか?

東日本大震災で被災した大沢小学校を舞台にした、ノンフィクション作品

被災当時のリアルな様子が、当時小学校高学年だった子どもたちの姿をメインにつづられています。

子どもたちはいったいどんな思いで毎日を過ごしていたのでしょうか?

こんなことを考えてみては?
~考察のヒント~

●津波が起こった後の子どもたちの姿を知って、どんなことを考えたか?
 →自分ならならどうだったか
 →子どもたちの姿を見た大人たちは、どんなことを思っていたか

●本を読んで考えたことは?
 →支え合うことの大切さ/感謝/友だち/家族・仲間/学校みんなのためにできること/誰かのためにできること/伝統を守る・伝える/震災当時の自分/自分が知っていること…など

●全国でさまざまな災害が起こる中、今自分にできることは何か?
 →(被害状況や現状を知ることから始めるといいかもしれません)

ノンフィクションなので、「実話の方がイメージしやすい」というお子さんにおすすめです。

そして実話ということもあり、当時の子どもたちの姿・思いがリアルです。

大人もみんな辛い状況なのに、子どもたちのくじけない思い、どんな逆境にも負けない頑張り、強い心に感動し、何度も泣きながら読みました。

そして、作品中に登場する、当時子どもたちが書いた数々の新聞にも注目です。

考察のヒント「本を読んで考えたことは?」で挙げたように、様々なテーマで考えられる一冊なので、自分が一番心に響いたテーマで考えを深めれば良いと思います。

そして、「今の自分にできること」「今、自分がすべきこと」をじっくり考えてみましょう。

ここで考えたことが何か一つでも行動に移せるといいですね。

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<参考>本選びに困ったら~過去の課題図書~

「今年の課題図書の中には好みのものがなかった」

「でも、たくさんある本の中から自由に選ぶのは難しい」

「そもそも、本を選ぶ基準がわからなくて困っている」

「どんな本が自分の子どもの学年に合う本なのかがわからない」

…という方もおられるかもしれません。

そんな方におすすめなのが、過去の課題図書です。

カッピー
カッピー

担任をしていた時にも、過去の課題図書の中から本を選んで読んでいた子がいました。

全国学校図書館協議会HPに、過去の課題図書一覧が掲載されています

本選びにお困りの方はこちらを参考にしてみてください。

>>過去の課題図書一覧(全国学校図書館協議会HP)<<

カッピー
カッピー

もちろん読書感想文にこだわらず、たくさん読書を楽しむために、この中から好みの本を探して読むのもおすすめです!

また、当ブログでは、昨年度(2023年度)の読書感想文コンクール課題図書(小学生の部)を紹介しています。

今年度同様、「こんなことを考えてみては?~考察のヒント~」もあわせて紹介しています。

よければこちらも参考にしてみてください。

なお、過去の課題図書を選んだ場合、読書感想文コンクールは「自由読書」での出品になります。

間違えないよう、気をつけてください。

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まとめ

2024年度読書感想文コンクール課題図書(小学生の部)を紹介しました。

学年部ごとに紹介しましたが、「自分の学年以外の本の方が良い」ということもありますよね。

「2年生だけど、中学年部の本を読みたい」などというときです。

読書感想文コンクールは、お子さんの年齢に関わらず、好きな学年部の本を選ぶことができます

ただし、自分の学年に合わない本を選んだ場合は「自由読書」での出品になります。

「課題読書」での出品はできなくなるので、ご注意ください。

詳しくは読書感想文コンクール公式HPにてご確認ください。

>>読書感想文コンクール応募要項(公式HP)<<

お子さんの心に残る一冊に出会える夏休みになりますように。

長文読んでいただき、ありがとうございました。

〇●今回紹介した本●〇

【低学年部】
◆『アザラシのアニュー』
 <あずみ虫 作/童心社 刊>

◆『ごめんねでてこい』
 <ささきみお 作・絵/文研出版 刊>

◆『おちびさんじゃないよ』
 <マヤ・マイヤーズ 文/へウォン・ユン 絵/まえざわあきえ 訳/イマジネイション・プラス 刊>

◆『どうやってできるの?チョコレート』
 <田村孝介 写真/立協卓 監修/ひさかたチャイルド 刊>

【中学年部】
◆『いつかの約束1945』
 <山本悦子 作/平澤朋子 絵/岩崎書店 刊>

◆『じゅげむの夏』
 <最上一平 作/マメイケダ 絵/佼成出版 刊>

◆『さようならプラスチックストロー』
 <ディー・ロミート 文/ズユェ・チェン 絵/千葉茂樹 訳/光村教育図書 刊>

◆『聞いて聞いて!音と耳のはなし』
 <高津修・遠藤義人 文/長崎訓子 絵/福音館書店 刊>

【高学年部】
◆『ぼくはうそをついた』
 <西村すぐり 作/中島花野 絵/ポプラ社 刊>

◆『ドアの向こうの国へのパスポート』
 <トンケ・ドラフト、リンデルト・クロムハウト 作/リンデ・ファース 絵/西村由美 訳/岩波書店 刊>

◆『図書館がくれた宝物』
 <ケイト・アルバス 作/櫛田理絵 訳/徳間書店 刊>

◆『海よ光れ!3・11被災者を励ました学校新聞』
 <田沢五月 文/国土社 刊>

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