【読んで考えたい児童書】何のために競争するの?『びりっかすの神さま』

小学校高学年

「1位になりたい!」

「勝負には絶対勝ちたい!」

前向きな気持ちが頼もしい子どもたちの言葉。

しかし、勝負や順位にこだわりすぎて心配になるときもありませんか?

そんなときにオススメしたい児童書があります。

この記事では、『びりっかすの神さま』という児童書を紹介します。

普段の読書にはもちろん、夏休みの読書感想文にもおすすめの一冊です。

カッピー
カッピー

このブログでは、元小学校教諭の私が考えた「本を読んだ後にこんなことをお話してみては?」という提案をお話のタネとして紹介しています。

お話のタネが芽を出して、親子の会話の花がたくさん咲きますように!

こんなときにおすすめ

・勝負や順位にこだわる考えを変えるきっかけになる本が知りたい

・「頑張る」ということについて、親子で話すきっかけになる本が知りたい

・読書感想文におすすめの本を探している

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本紹介『びりっかすの神さま』

『びりっかすの神さま』
<岡田淳 作/偕成社 刊>

「びりっかす」という題名のとおり、この本のキーワードは「ビリ」。

順位争いや勝負事に向き合う子どもたちがテーマとなった本です。

「ビリ」と聞くと、あまり良いイメージがないという子が多いと思います。

しかし、この本を読むとそのイメージが覆るかも・・・?

あらすじ

物語の主人公は、始(はじめ)。

4年生の男の子です。

4年1組に転校してきた始は、転校初日、教室でとんでもないものを目にします。

背中に小さな翼がある、大きさ20cmぐらいの男が、空中をゆっくりはばたいて飛んでいるのです。

男の姿は、教室の誰の目にも見えていないようで、始にだけ見えていました。

ある日、テストが返されました。

すると、あの小さな男が、最低点をとった子のところにやってきたのです。

そう、この男は、クラスの中でビリになった子のところにやってくるのでした。

そこで始は、わざとビリをとります。

自分の席にやってきた男に心の中で話しかけると、会話することができました。

そして、始は男のことを「びりっかすの神さま」と呼びはじめます。

始はびりっかすの神さまともっとお話がしたくて、その日から何でもわざとビリをとるようになります。

テストはもちろん、徒競走でも、給食を食べ終わるのでも、何でもビリです。

そのうち始は、隣の席のみゆきにもびりっかすの神さまのことを教えてあげたくなります。

みゆきは、始が転校してくるまでずっとビリをとっていた女の子で、始がビリ続きなことを心配してくれていたのです。

こうして2人が一緒にビリをとり、びりっかすの神さまと3人で会話ができるようになりました。

そうこうしているうちに、びりっかすの神さまのことがクラスの友だちに一人、また一人と伝わっていき・・・

お話のタネ ~本を読んで考えたい3つのポイント~

この本は、「おすすめ年齢 中学年~」とされています。

しかし、個人的には高学年の子どもたちにこそ読んでもらいたいと思い、高学年向けに紹介しています。

高学年は中学校進学が近くに見え始め、日ごろの勉強や運動、中学受験など、周りとの「競争」を強く意識する学年です。

そんな子どもたちにこそ読んでもらいたい、そしてじっくり考え、自分の考えを広げてほしい一冊です。

そこで、この本を読んでどんなことを考えてみると良いか、元小学校教諭の視点から、3つのポイントを紹介します。

ポイント①

この本のキーワードは、「順位」です。

びりっかすの神さまに会うために、わざとビリをとり続ける始。

カッピー
カッピー

競争と言えば、上の順位を目指す人がほとんどではないでしょうか?

なのに始は喜んでビリを取り続けるのです。

そこで、こんなお話のタネ。

この本を読んで、「順位」についてどんなことを考えたか。

今まで「競争=1位を目指す」「ビリ=恥ずかしい」と思ってたお子さんは、この本を読んでどんなことを考えたでしょうか?

驚き?共感?それとも・・・?

お子さんの素直な思いをゆっくり聞いてみてあげてください。

ポイント②

始のお父さんは、転校前に病気で亡くなってしまいます。

そのお父さんが亡くなる前に始に言った言葉は、「がんばれ」でした。

でも、お母さんは「お父さんは人より前を走り続けて亡くなった」と考えているのです。

そして始に「人に勝つことががんばるということなら、あなたはがんばらなくてもいい」と言います。

そこで、こんなお話のタネ。

「がんばる」って、どういうことだと思うか。

競争するため?誰かに勝つため?

いったい何のためにがんばるのか、お子さんと一緒に、一度じっくり考えてみてはいかがでしょうか?

カッピー
カッピー

勉強や運動、趣味、習いごと・・・など。

今、何か頑張っていることがあるお子さんは、そのことを思い浮かべて考えてみてくださいね。

ポイント③

始のクラスでは、先生も子どもたちも日頃から「競争」を強く意識しています。

みなさんのお子さんは、いかがでしょうか?

そこで、こんなお話のタネ。

(あとがきから)学級は競争するところだと思うか。また、学校・学級で競争することは、本気になる値打ちがあることだと思うか。

最近の小学校生活では、どちらかというと「競うのはやめよう」という方針の学級・学校が多いのかもしれません。

お子さんの学校・学級の実態に合わせて、ゆっくりお話ししてみてください。

カッピー
カッピー

中学校に進学すると、テストの結果など、学級や学年内での順位が発表されることが多くなります。

高学年のお子さんは、そういったこともふまえて考えてみるといいかもしれませんね。

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まとめ

『びりっかすの神さま』を紹介しました。

競争化、あるいは平等化が進む現代において、「順位」をどうとらえるのか?

子どもたちが考えるきっかけとなる一冊です。

また、「がんばりなさい」「がんばらなくてもいい」と子どもたちに声かけをする親御さんも、お子さんと一緒にぜひ読んでいただきたいです。

この記事では「お話のタネ」を紹介しました。

お子さんと同じ本を読み、「お話のタネ」をもとに話し合うことで、今まで気づかなかったお互いの思いを知るきっかけにもなります。

一冊の本を通して、親子のかかわりを深めてみてはいかがでしょうか?

当ブログでは、この他にも高学年の読書感想文におすすめの本として、『歯みがきつくって億万長者』という児童書も紹介しています。

また、2023年度の読書感想文・課題図書(小学校)を一挙紹介しています。

こちらもそれぞれの本の簡単なあらすじと、考察のヒントを紹介しています。

ぜひチェックしてみてください。

〇●今回紹介した本●〇

◆『びりっかすの神さま』
 <岡田淳 作/偕成社 刊>

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