「ケロケロケロ」
草むらから、田んぼから、雨上がりに・・・
どこからともなく聞こえてくる、カエルの鳴き声。
そんなカエルが登場する絵本を4冊紹介します。
同じ「カエル」でも、絵本によってそのキャラクターはさまざま。
あなたはいったいどんなカエルに出会えるかな?
絵本の世界のカエルに会いに行きましょう!

このブログでは、元小学校教諭の私が考えた「本を読んだ後にこんなお話をしてみては?」という提案をお話のタネとして紹介しています。
お話のタネが芽を出して、親子の会話の花がたくさん咲きますように!
・カエルが主人公の絵本が読みたい
・カエルが苦手なお子さんも楽しめる、カエルを好きになれる絵本が読みたい
・鳥獣戯画絵巻をもとにした絵本を読んでみたい
・「並行読書」について知りたい
絵本紹介&お話のタネ
あなたならどうする? 『オレ、なんにもしたくない』

<デヴ・ペティ 文/マイク・ボルト 絵/小林賢太郎 訳/マイクロマガジン社 刊>
「オレ、したいことがなーんにもないんだ。」
と、寝転がりながらお父さんに話すカエルくん。
カエルくんなりに、何かしたいことがないかいろいろ考えたらしいのですが・・・
考えたことはどれも嫌だったみたい。
泳ぎに行くのは・・・濡れちゃうし。
遊ぶのは・・・どれも気分じゃないし。
掃除するのは・・・今したところ(と言いながら部屋は散らかり放題)
一人で考えても何も思いつかないので、カエルくんは友だちに聞きに行くことにしました。
「今日、オレ、何したらいい?」

何かしたい!一日を無駄にしたくない!
でも・・・何がしたいかわからない。
そしてたどり着いた答えが「何もしたくない」。
こういうこと、みなさんも経験があるのではないでしょうか?
私はこういうことよくあります・・・。

日常生活や学校、職場で、
「やらないといけないけどやりたくない」
「なんにもしたくない」
なんて思うことありませんか?
お話のタネ
たくさんの友だちに相談して回ったカエルくんは、最後にすてきな答えにたどり着きます。
それはいったいどんな答えだったのでしょう?
まずはその答えについて、お話してみましょう。
そして、「自分ならどんな答えを出すか」も、お話してみてください。
「あれもしたくない」「これもしたくない」
「何にもしたくない」
そんなときがあったら、この絵本を読んでお話したことを思い出してみましょう。
きっと一歩前に進むことができますよ。
新発見があるかも⁉ 『ずら~りカエルならべてみると・・・』

<松橋利光 写真/高岡昌江 文/アリス館 刊>
カエルにはたくさんの種類がいます。
そのカエルたちを、じっくり比べて見たことはありますか?
この絵本では、日本のカエルが43種類も登場します。
全身像の比較はもちろん。
カエルの前足や歌声、子どものころのオタマジャクシの姿の比較もあります。
巻末の日本のカエル43種類の一覧にも注目です。

この絵本を紹介している私、実はカエルが苦手です。
子どものころから捕まえることはもちろん、さわることもできません。
だからこそ、この絵本を見て、新たな発見がたくさんありました!
「カエルって、こんなにかわいい顔してるんだ」
「前足って、種類によってこんなに違いがあるんだ」
「オタマジャクシの姿って、どの種類も似ていると思っていたけど、みんな個性がある」
・・・など、今まで気が付かなかったカエルのさまざまな姿に気づくことができました。

私のように「カエルが苦手」というお子さんにこそおすすめしたいです。
これからはカエルを探すのが楽しみになるかもしれませんよ。
お話のタネ
43種類のカエルの中から、お気に入りの一匹を見つけてみましょう。
どんなところが気に入ったのか、お話してみてください。
そのカエルが動いている動画を調べて見てみるのもいいですね。
きっと一匹調べてみたら、「次はこれ」「その次はこれ」と、どんどん調べてみたくなりますよ。
この絵本をきっかけにカエルに興味をもったら、ぜひ他のカエル絵本も手に取ってみてください。
そうやってどんどん読む本の数を増やして、知識を深めていきましょう。
気づけばカエル博士になっているかも⁉
鳥獣戯画絵巻って、知っていますか? 『かえるのごほうび』

<木島始 作/梶山俊夫 レイアウト/福音館書店 刊>
お話の舞台は森の中。
今日は森のお祭りです。
動物たちが、的あてをしたり、相撲をしたりして、力くらべをします。
相撲の大一番は、うさぎ対かえる。
はっけようい、のこった!
あ、かえるが危ない!
と思ったそのとき、かえるが上手投げでうさぎを投げとばしました。
こうして、森のお祭りの一等賞はかえるに決まりました。
めでたしめでたし・・・と思いきや⁉
なんと、優勝したはずのかえるが動かないのです・・・

このお話は、今から約800~900年ほど前に造られた「鳥獣戯画絵巻」を組み立て直して描かれたものです。
この絵本の元となった絵巻には、詞書(ことばがき)が一切つけられていませんでした。

その絵巻を作者の木島さんが読みとり、物語の組み立てを考えられたのです。
絵巻を読み取り、物語を考えるまでには、たくさんの迷いや考えがあったそうです。
鳥獣戯画絵巻とは、京都の高山寺に伝わる墨画の絵巻物です。
「鳥獣人物戯画」とも言われています。
今回紹介した絵本のように、動物たちが擬人化された姿を描いたものもあります。
この絵本の表紙を見てもわかるように、動物たちが生き生きとして、今にも動き出しそうな姿が墨一色で描かれています。
お話のタネ
以前勤務していた小学校では、子どもたちが鳥獣戯画を描くのに挑戦するという活動がありました。
子どもたちにとって墨画を描くというのは新鮮で、良い経験になったと喜んでいました。
この絵本を読んで、お子さんと一緒に墨画に挑戦してみるのも良いですね。
また、絵本で描かれた墨画をじっくり見て、作者の木島さんとは違った物語を考えてみても楽しめます。
さまざまな方法で絵本の世界を楽しんでくださいね。
かえるくんとがまくんの心あたたまるお話 『ふたりはきょうも』

<アーノルド・ローベル 作/三木卓 訳/文化出版局 刊>
この本は、仲良しなかえるくんとがまくんのお話です。
かえるくんとがまくんといえば、『おてがみ』のお話が有名ですね。
実は、かえるくんとがまくんのお話は他にもたくさんあるってご存じですか?
この本は短編集のようになっていて、全部で5つのお話が収録されています。
今回はこの中から『ひとりきり』というお話を紹介します。
かえるくんの家に来たがまくん。
家のドアを見ると、あるかきつけが貼ってあったのです。
そこには「ひとりきりになりたい」と書かれていました。
がまくんは、かきつけを見て不思議に思いました。
「どうしてひとりきりになりたいの?ぼくとともだちなのに」
がまくんはかえるくんを探しに出かけます。

森の中、野原と、あちこち探しまわるがまくん。
すると、川の中の真ん中の島に座っているかえるくんを見つけました。
かえるくんは、ひとりきりで座っているのです。
そんなかえるくんの姿を見たがまくんは・・・

もし、あなたが友だちに「ひとりきりにして」と言われたら、どうしますか?
そっとしておきますか?
それとも、がまくんのように探しに行きますか?
お話のタネ
いったいどうしてかえるくんはひとりきりになりたかったのでしょう?
お子さんと一緒に、かえるくんの気持ちを考えてみてください。
そして、心温まる結末を、ぜひじっくり味わってください。
かえるくんとがまくんシリーズのお話は、2人のあたたかな関係がすてきなお話ばかりです。
物語をきっかけに、お子さんのお友だちとのお話をたくさん聞いてみましょう。
かえるくんとがまくんのような、心温まるエピソードが聞けるかもしれませんよ。
並行読書のススメ

並行読書とは、国語科などの教科書で学んだ学習に関連した本や文章を読み、その知識や興味、考えを深めることです。
主に学校での指導・活動として行われています。
例えば、教科書で乗り物に関するお話を学習したとき。
学習したそのお話だけで終わるのではなく、そこから乗り物に関するさまざまな本を読むというのが並行読書です。
そうすることで、教科書には出てこなかった乗り物を知ることができたり、乗り物に関する知識や考えが広がったりしますよね。
さらには、乗り物だけにとどまらず、そこから派生したさまざまな本にももっと親しみや興味がもてることも期待できます。
「教科書で読んだお話が気に入った」というお子さんは、そのお話の作者が書いた他の本を追いかけて読むのもおすすめです。

今まで読書が苦手だったお子さんも、「読書が楽しい」と思えるきっかけになるかもしれませんね。
今回紹介したかえるくんとがまくんのお話は、この他にもたくさんのお話があるので、並行読書におすすめです。
このシリーズの本は、一つひとつのお話が比較的短いので、読書嫌いなお子さんも気楽に読むことができますよ。
この他にも、教科書に載っている物語の中でも人気が高い『スイミー』の作者、レオ=レオニの絵本も、並行読書におすすめですよ。
まとめ
さまざまなカエルの絵本を紹介しました。
かわいいカエル、元気なカエル、日本のカエル、仲良しなカエル・・・
あなたのお気に入りのカエルは、どのカエルでしたか?
カエルが大好きなお子さんはもちろん。
私のようにカエルが苦手というお子さんも楽しめる絵本ばかりですので、ぜひ親子で楽しんでくださいね。
〇●今回紹介した絵本●〇
◆『オレ、なんにもしたくない』
<デヴ・ペティ 文/マイク・ボルト 絵/小林賢太郎 訳/マイクロマガジン社 刊>
◆『ずら~りカエルならべてみると・・・』
<松橋利光 写真/高岡昌江 文/アリス館 刊>
◆『かえるのごほうび』
<木島始 作/梶山俊夫 レイアウト/福音館書店 刊>
◆『ふたりはきょうも』
<アーノルド・ローベル 作/三木卓 訳/文化出版局 刊>
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