【あらすじ&考察ヒントも】2023年度読書感想文・小学校部門の課題図書を一挙紹介

絵本・児童書

夏休みの宿題といえば、夏のドリルや自由研究、工作・・・

そして、読書感想文

小学校担任をしていたころ、「読書感想文が一番気が重い」と話す子どももいました。

その理由は大きく2つ。

どんな本を読めばいいのかわからないから」

どんなことを書けばいいのかわからないから」

同じ悩みを抱えるお子さん、たくさんいるのではないでしょうか?

そこでこの記事では、2023年の読書感想文課題図書を、小学校全学年部一挙紹介します。

本の簡単なあらすじはもちろん、子どもたちの「どんなことを書けばいいのかわからない」の手助けになるよう、「考察のヒント」もあわせて紹介します。

カッピー
カッピー

元小学校教諭の視点から、「こんなことを考えてみては?」をいう提案をしています。

少しでも参考になれば嬉しいです。

こんなときにおすすめ

・2023年度読書感想文コンクール課題図書(小学校部門)の本が知りたい

・課題図書を選ぶヒントに、物語のかんたんなあらすじが知りたい

・本を読んでどんなことを考えれば良いか、考察のヒントが知りたい

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低学年編

『それで、いい!』

『それで、いい!』
<礒みゆき 作/はたこうしろう 絵/ポプラ社 刊>

かんたん紹介

きつねは絵を描くのが大好き
今日もショウリョウバッタを見つけて、夢中になって絵を描いています。

そこにあらわれたのは、やまねこ。
きつねが描いたバッタの絵を見て「本物とはずいぶんちがう」「へんなの」と言ってきます。

ケンカになった2人を止めてくれたのは、あひるでした。
でも、あひるもきつねの絵を見ると「もっときちんと色をぬらなくては」と言うのです。

そんな2人に向かって、きつねは「みんなが驚くような、もっとすごい絵を描いてやる!」と言い、走り出すのですが・・・

こんなことを考えてみては? ~考察のヒント~

・絵を描くのに困ったきつねに、どんなことを言ってあげたいか?

・うさぎの家を訪れたきつねは、どんな気持ちになったか?

・自分なら、どんな絵を描きたいか?
 →その理由は?完成したら誰に見せたい?

「自分が大好きなことや頑張っていることに文句を言われた」という経験がある子って、結構たくさんいるのではないでしょうか?

意地になったり、嫌になったり、できなくなってしまったり・・・

カッピー
カッピー

大人の私でも、そういう経験ってあります。

指摘する側の人たちも悪気があるわけではないのでしょうが、それでもやっぱり傷つくときってありますよね・・・。

そんな自分の経験を絵本の中のきつねと重ね合わせて、物語を楽しんでみてください。

きつねが描いた「もっとすごい絵」にも注目です。

『けんかのたね』

『けんかのたね』
<ラッセル・ホーバン 作/小宮由 訳/大野八生 絵/岩波書店 刊>

かんたん紹介

くたくたになって家に帰ってきたお父さん。
玄関のドアを開けて入ると、家の中は大騒ぎ
ペットの犬と猫がにらみ合い、4人の子どもたちは大げんかしています。

みんなを必死に止めているお母さんに話を聞くのですが・・・
「今日はみんな悪い子で、誰をしかればいいのやら」と、お母さんもくたくたになっています。

すると、4人の子どもたちがどうしてこうなったのかを順に話し始めました。
はたして、けんかのたねはいったい何だったのでしょうか?

こんなことを考えてみては? ~考察のヒント~

・今まで家族や友だちとけんかしたことは?
 →原因は?どうやって解決した?

・ネズミの立場になったとき、自分ならどうするか?
 →同じことが言えるか?違うことを言うか?今までにこういう経験があったか?

・けんかのたねはどこにあると思うか?どうやったら解決できると思うか?

お話を読んでいると、「こういうことあるある」と、大人の方が共感するかも⁉

けんかのたねって、いったいどこに転がってて、どうやって解決すると良いのでしょう?

親子で一緒に読んで、じっくり話し合ってみるのも良いですね。

カッピー
カッピー

「けんか」という子どもたちの身近にあるテーマなので、内容も共感しやすい一冊です。

同じような経験があるお子さんもいるのではないでしょうか。

だからこそ、本を通して感じたことや考えたことを素直に表現してみるといいですね。

『うまれてくるよ海のなか』

『うまれてくるよ海のなか』
<高久至 写真/かんちくたかこ 文/アリス館 刊> 

かんたん紹介

海の中には、たくさんの魚が泳いでいます。
そして、たくさんの魚の命が誕生しています

海の中をよく見てみると、魚の卵がたくさんあります。
そして、その卵を見守るお父さん・お母さん魚の姿も。
隠して、守って、そばにいて・・・
卵が無事にかえるまで、魚たちのどんな頑張りがあるか、知っていますか?

この絵本では、大切な卵を一生懸命守ったり、お世話したりするお父さん・お母さん魚の姿や、産まれてきたかわいい赤ちゃん魚の姿をのぞくことができますよ。

こんなことを考えてみては? ~考察のヒント~

・海の中や魚の卵を見たことはあるか?
 →実際に見た?本や映像で見た?どんなことを感じたか?

・本の中で、一番気になるorお気に入りの魚は?
 →どうして?どんなところが?

・様々な方法で卵を守り育てる魚を見て(知って)、どんなことを考えたか?
 →初めて知ったこと、驚いたこと、もっと知りたいこと、自分にできること など

海や魚が好きなお子さんに特におすすめの一冊です。

水中写真家の高久さんが撮影された写真は、どれも美しいものばかりです。

魚の命の始まりを知り、一生懸命守り育てる親魚の姿を見ると、生き物たちの努力や工夫、時には儚さを感じますよ。

カッピー
カッピー

絵本の中で気になる魚については、さらに自分で調べて知識を深めてもいいですね。

知識が深まると、自分の考えもきっと深まりますよ。

『よるのあいだに』

『よるのあいだに みんなをささえるはたらく人たち』
<ポリー・フェイバー 文/ハリエット・ホブディ 絵/中井はるの 訳/BL出版 刊>

かんたん紹介

あたりが暗くなってきた
ママはごはん食べて、コートをはおり、手をふる。
「いってきます」

ママは、これから大切な仕事に行く

夜の間、いろんな人がいろんな仕事をしている
いったい、どんな仕事をしているのかな?

こんなことを考えてみては? ~考察のヒント~

・夜の間に仕事をしてくれている人がいることに気づいていたか?
 →今までに考えたことはあったか?どんなこと?
 →(気づいていなかったなら)本を読んで、どんなことを感じた?

・本に出てきた以外に、夜の間の仕事にはどんな仕事があると思うか?
 →調べてみたり、街中を歩いて考えてみたり、インタビューしたりしてみるのも◎

・夜の間に仕事してくれている人に、どんなことを伝えたいか?
 →聞いてみたいこと、感謝の気持ち、など

低学年の子どもたちは、「夜の間も働いてくれている人がいる」と気づけている子と、まだ気づけていない子と、半々ぐらいではないでしょうか?

「考えたこともなかった」という子も、少なくないと思います。

そんな子どもたちの新たな気づきにぴったりな一冊です。

カッピー
カッピー

初めて知ったことや、気づいたときの自分の気持ちなど、感じたことを素直に言葉や文字にしてみるといいですね。

形にあらわすことで、自分の考えや気持ちが整理できますよ。

この絵本は、絵本紹介サイト「絵本ナビ」で、一部ページが掲載されています

参考にしたい方は、こちらものぞいてみてください。

絵本ナビ『よるのあいだに』紹介ページ
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中学年編

『ライスボールとみそ蔵と』

『ライスボールとみそ蔵と』
<横田明子 作/塚越文雄 絵/絵本塾出版 刊>

かんたん紹介

4年生のジュンの家は、『塩屋』という代々続くみそ蔵
伝統ある蔵が古くてボロボロに見えるジュンは、自分の家がみそ蔵ということが嫌でたまりません

そんなジュンの家のみそ蔵に興味をもった女の子がいました。
ロンドンから日本に帰ってきた転校生、ユキちゃんです。
ジュンはユキちゃんに「みそ蔵を見たい」と言われて嬉しくなり、家に招待することになりました。

招待当日、ジュンのお父さんがユキちゃんとジュンに、みそ蔵のことをいろいろ教えてくれます。
その途中、お父さんがみそ蔵が抱える悩みについて話し始めて・・・

こんなことを考えてみては? ~考察のヒント~

・みそ料理で好きなもの、作ってみたいもの、得意料理はあるか?

・自分なら「みそっ子レストラン」で、どんなことをしてみたいか?

・みそや日本の伝統料理を残し、広めていくために、自分たちにできることは何か?

「みそ蔵の家の子なんて嫌」「味噌なんて別においしくない」と、自分の家のことを嫌に思っていたジュン。

転校生のユキちゃんとのかかわりの中で、その思いはどんどん変化していきます

私たちの身近にある味噌をテーマにした物語なので、子どもも楽しく読み進められそうですよ。

カッピー
カッピー

中学年になると、理科や総合学習として、大豆を育てたり味噌をつくったりする学校もあります。

そういった体験も思い返しながら読むと、本の内容がより一層身近に感じられますよ。

『フードバンクどろぼうをつかまえろ!』

『フードバンクどろぼうをつかまえろ!』
<オンジャリQラウフ 作/千葉茂樹 訳/スギヤマカナヨ 絵/あすなろ書房 刊>

かんたん紹介

「おなかすいたよ!」と、妹のアシュリーが今日もぺたんこのお腹を見せてきます。
この物語の主人公、ネルソンだって、お腹はペコペコ。
でも、冷蔵庫も棚の中も、ほとんど空っぽ

ネルソンのお母さんは、1人で2人のきょうだいを育ててくれています。
一生懸命仕事をしてくれるお母さんですが、生活はギリギリ
家賃も滞納し、1カ月の食べ物を確保するのもギリギリの毎日です。

そんな家族の支えとなっているのが、フードバンク(食べ物銀行)
ここで食べ物がもらえるおかげで、家族みんななんとか生活できています。

しかし、そんなフードバンクで受け取る食べ物の量が、なぜかどんどん減っていくのです。
どうやらフードバンクを狙った悪いやつがいるらしくて・・・

こんなことを考えてみては ~考察のヒント~

・満足に食べられない人たちがいることについて、どんなことを考えたか?
 →信じられない、日本にはいないのでは?/自分も困ったことがあった、身近に困っている人がいる・・・など

・フードバンクについてどんなことを考えたか?
 →本を通して考えたことだけでなく、自分で調べてみるのも◎

・自分たちにできることは何か?

この本は外国のお話ですが、決して他人事ではありません

巻末にも書かれていますが、日本でも食の貧困に悩む家庭はたくさんあります

この本をきっかけに、フードバンクや食の貧困について、自分で調べて考えを深めてみると良いですね。

カッピー
カッピー

日本でも食品を寄付する活動がたくさん行われています。

よく行くスーパーや地域の活動など、身近なところで行われている活動に気づくきっかけになるかもしれませんね。

『化石のよぶ声がきこえる』

『化石のよぶ声がきこえる 天才恐竜ハンター ウェンディ・スロボーダ』
<へレイン・ベッカー 作/サンドラ・デュメイ 絵/木村由莉 訳・監修/くもん出版 刊>
【写真引用:くもん出版

かんたん紹介

ウェンディは、ほかのみんなが気づかないすてきなものを、たくさん見つけることができる女の子。
今日も授業が終わると外へかけ出し、宝探しに出発です。

ウェンディにとっては、すてきなものなら何でも宝物です。
おもしろい形の石やつぼみ、ひっつきむし・・・
見つけたら写真を撮ったり、家に持って帰って飾ったりしています。

そんなウェンディが12歳のとき、遠足で出かけたバッドランドで運命的な出会いをします。
それは、化石との出会いでした。

こんなことを考えてみては? ~考察のヒント~

・初めて化石を見つけたウェンディの気持ち、ワクワク感は、どんな感じだったと思うか?
 →気持ちの高まり、発見した喜び、化石に秘められた魅力、など

・自分なら、どんな化石を見てみたいか?
 →(過去に生息していた)どんな生き物に会ってみたいか?

・ウェンディのように、自分の「好き」で突きつめてみたいと思うことはあるか?
 →どんなこと?何をしてみたい?

この物語は、実話です

主人公のウェンディ・スロボーダは実在する女性で、恐竜ハンターの一人として、現在も活躍しています。

化石や恐竜に興味があるお子さんは、実際に博物館に行ってみたり、化石探し体験をしたりすると、絵本の内容がより一層身近に感じられますよ。

また、これは絵本なので、分厚い本が苦手というお子さんにおすすめです。

カッピー
カッピー

化石に興味がないお子さんも、自分の好きなことを突きつめて、それを仕事にするというウェンディの姿から学べることはたくさんあるはずです。

自分だったらどんな「好き」を仕事にしてみたいか、じっくり考えてみてはいかがでしょうか?

この絵本は、絵本紹介サイト「絵本ナビ」で、一部ページが掲載されています(PCのみ)。

参考にしたい方は、こちらものぞいてみてください。

絵本ナビ『化石のよぶ声がきこえる』紹介ページ

『給食室のいちにち』

『給食室のいちにち』
<大塚菜生 文/イシヤマアズサ 絵/少年写真新聞社 刊>

かんたん紹介

みどり小学校の栄養士、山川さん。
今日も学校に着いたら、体の調子のチェックから始まります。

一緒に働くたくさんの調理員さんもやってきました。
みんなで身支度をして、打ち合わせを始めます。

給食が作られるまでに、いったいどんな作業が行われているのか?
どんなことに気をつけているのか?
おいしい給食は、どうやって作られているのか?

給食室の一日をのぞいてみましょう。

こんなことを考えてみては? ~考察のヒント~

・好きな給食のメニューは?
 →どんなふうに(どんな工程で)作られているか、考えたことはあるか?

・給食室でたくさんの人たちが様々な仕事をしながら働いていることを、知っていたか?
 →本を読んで、どんなことを感じたか?(初めて知ったこと、驚いたこと、など)
 →栄養士さんの仕事を知っていたか?

・給食室のみなさんに伝えたいことは?
 →もっと知りたいこと、質問したいこと、感謝の思い、など

子どもたちが大好きな給食。いったいどんなふうに作られているのか知っていますか?

この絵本を読むとたくさんの工夫や努力を知ることができます。

絵本を読んだら、自分の学校の献立表を見てみましょう。

「この献立を作るために、給食室ではどんな作業をしてくれているのか?」「こんなことに気をつけながら献立を考えてくれているのかな?」と、絵本で学んだことを参考にして考えてみるのもいいですね。

カッピー
カッピー

色鮮やかなイラストを見ていると、まるで読んでいるこちらまでいい匂いがしてくるような・・・

おいしい気持ちにさせてくれる一冊です。

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高学年編

『ふたりのえびす』

『ふたりのえびす』
<髙森美由紀 作/フレーベル館 刊>

かんたん紹介

八戸市に住む太一は愉快なお調子者で、クラスのみんなを笑わせることばかり言う男の子。
でも実はこれは表のキャラ。みんなの前では本当の自分を出さないように、隠しているのだ。

一方、先月転校してきた大路優希は、色白の細身で背が高く、「王子」というあだなで呼ばれている。
太一は、物静かで一見何を考えているかわからない彼と話すのは緊張してしまう。

八戸市には、「えんぶり」という郷土芸能があり、主役でもある「太夫」は毎年6年生が踊ることになっている。
今年の太夫を決める集まりで、太夫の踊りの一つである「えびす舞」に指名された太一。
本当は嫌だったけれど、表のキャラに合わせて引き受けることにした。

「もう一人誰か・・・」と見回すと、手を挙げている人が一人。
それは意外にも、優希だったのだ。
こうして太一と優希はペアを組み、えびす舞に挑戦することになった。

こんなことを考えてみては? ~考察のヒント~

・伝統芸能にこめられた思いについて、どんなことを考えたか?
 →本の中の伝統芸能、自分の地元に伝わる伝統芸能や祭りなどについて

・自分のキャラについて考えたことはあるか?
 (太一のようにキャラを作ったり、優希のようにキャラを押しつけられたりしたことはあるか?)
 →その理由は?そのとき自分はどうした?これからの自分はどうしたい?

・本当の友だちって、どういうこと?
 →自分にはいるか?どんな人か?その人とどんな出来事があったか?

似た境遇の2人だけど、キャラクターは正反対・・・と思いきや?

本当の自分を見つめながら、時に支え合い、時にぶつかり合いながらえびす舞の練習に励む2人。

カッピー
カッピー

私はキャラを作って必死に守っている太一に共感できる部分がたくさんありました。

自分も学生時代、こういうことあったなぁ・・・と、自分と重ねながら読みました。

この本を読んで、「本当の自分」「本当の友だち」についてじっくり考えてみてはいかがでしょうか?

『魔女だったかもしれないわたし』

『魔女だったかもしれないわたし』
<エル・マクニコル 著/櫛田理絵 訳/PHP研究所 刊>

かんたん紹介

アディは、自閉的な女の子。今日も「字が汚い」とマーフィ先生に怒鳴られ、せっかく書いた物語もビリビリに破られてしまった。

そんなアディの落ち着く場所が、図書室。優しいアリソン先生がアディのためにおすすめの本を渡してくれて、アディはまた元気になれる。

そんなある日、アディの気持ちが大きく揺らぐ出来事が起こる

マーフィ先生が授業で、自分たちが暮らす村の歴史の話を始めた。
それは昔、魔女の疑いをかけられた人々が裁判にかけられ、処刑されたという話だった。

「魔女の疑い」と言っても、左利きだったり、人目につくことをしただけだったりと、些細な理由ばかり。
アディは、魔女の疑いをかけられた人々のことが、まるで自分のように感じて・・・

こんなことを考えてみては? ~考察のヒント~

・魔女の慰霊碑を建てることに、自分なら協力するか?反対するか?
 →その理由は?(協力するなら)自分ならどんな活動をするか?

・友だちがいじめられていたり、嫌なことをされていたら、どうするか?
 →助ける、見ている、一緒になってやってしまう・・・その理由は?

・人と違うことは、悪いこと?恥ずかしいこと?
 →その理由は?(あれば)自分の体験談や、そのとき考えたこと、これからのこと

アディは自閉的な面があり、家族も、自分自身も、そのことはよくわかっています。

そして先生や友だちなど、周りにいる人の中にはそんな自分を「変わっている」「ダメな子」と認識している人がいることもわかっています。

だからこそ、「人と違う」というだけの理由で裁かれ、処刑された魔女に感情移入するのです。

逆境に負けず、自分にできることを考えるアディの成長に注目です。

カッピー
カッピー

正直、話の内容は重いです。私は元小学校教諭ということもあり、読むのがしんどくなる場面もありました。

でも、だからこそ、子どもも大人も考えるべきことがたくさん詰まった一冊です。

『5番レーン』

『5番レーン』
<ウン・ソホル 作/ノ・インギョン 絵/すんみ 訳/すずき出版 刊>

かんたん紹介

漢(ハンガン)小学校の水泳部エース、カン・ナル。

これまで何度もメダルを獲得してきた彼女には、ライバルがいる。プルン小学校のキム・チョヒだ。
ずっとナルが勝っていたのに、徐々に追いつき追い越され、今では勝てなくなってしまった

なぜ勝てないのか?キム・チョヒの水着に何か細工でもあるのでは?
そんなはずないと頭でわかっていても、なかなか認められなかった。

だって、試合は勝つためにやるんだから。一度だって負けたくないカン・ナル。
コーチは、そんなカン・ナルに「どうして水泳をやっているのか、一度考えてみるように」と話した。

そんなある日、転校生のチョン・テヤンがやってくる。

こんなことを考えてみては? ~考察のヒント~

・キム・チョヒの水着をめぐるトラブル、自分ならどう行動するか?

・カン・ナルは、何のために水泳をしていると気づいたのか?
 →(何か習い事をしているなら)自分自身は、何のために習い事などをしているのか?

・自分の味方になってくれる人、自分が味方になりたい人はいるか?
 →どんな人?なぜその人?これまでにどんなエピソードがあるか?これからどうしたい?

水泳に全力で取り組む小学生たちの姿を、爽やかに描いた一冊です。

でもそんな物語の中には、子どもたちの努力や苦悩など、たくさんの思いが詰まっています。

何か習い事をしているお子さんは、共感できるところがあるかもしれませんね。

カッピー
カッピー

カン・ナルを中心とした、子どもたちの成長に注目です。

甘酸っぱい恋物語も描かれているのもポイントですよ。

『中村哲物語』

『大地をうるおし平和につくした医師 中村哲物語』
<松島恵利子 著/汐文社 刊>

かんたん紹介

中村哲先生は、医者です。
パキスタンやアフガニスタンなどでたくさんの人々の命を救ってきました。

哲先生は医者として、たくさんの人々と関わり、治療してきました。
しかし、それだけではありません。
哲先生自ら井戸を掘り、水路を作って、人々のもとに水を届けたのです。

アフガニスタンでは、干ばつなどで水が十分に得られず、命を落としてしまう人がたくさんいました。

そんな人たちのために立ち上がった哲先生。
なぜ哲先生は井戸を掘ることを決めたのでしょう?
いったいどんなことを考え、どんな行動をとったのでしょう?

こんなことを考えてみては? ~考察のヒント~

・戦争、異文化、環境問題について、この本を通して自分が考えたことは?
 →自分が知っていること、興味をもって調べたことなどをあわせて書くのも〇

・自分の身近なことで、できることはいったい何か?

・(本文より)人間にとって、真の幸せとは何か?

この物語は、実話です

実話だからこそ、世界各国の現状を知り、自分に何ができるかを考えるきっかけになります。

視野を広げて行動するために、今の自分にできることを考える

高学年にふさわしい一冊です。

カッピー
カッピー

この本からは、「本当に困った人たちの力になれる人間になりたい」という、哲先生が大切にしていた考えがひしひしと伝わってきますよ。

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まとめ

2023年度の読書コンクール小学校部門の課題図書を紹介しました。

ちなみに。

小学校全学年部の本を紹介しましたが、もしかしたらお子さん該当学年以外の本の方が気に入ったということもあり得ますよね。

「うちの子は4年生だけど、高学年部の本を気に入って・・・」なんてパターンです。

カッピー
カッピー

「学年に合わない本ではコンクールに応募できないのでは?」と不安に思われるかもしれませんが、ご安心ください。

読書感想文コンクールは、学年関係なく、気に入った本を選んでコンクールに応募することができます

ただしこの場合、「課題図書」の部門ではなく、「自由図書」の部門で応募になります。

応募用紙を記入するときに間違えないよう、気を付けてください。

応募のルールや方法、Q&Aなど、読書感想文全国コンクールの公式サイトで詳しく紹介されています。

気になる方はこちらもご確認ください。

読書感想文全国コンクール公式サイト

課題図書は子どもたちも読みやすく、共感できるテーマの本がたくさんあります。

お子さんが自分ではなかなか選ばないような本もあるかもしれませんが、もしかしたらこれが読書の幅を広げる良い機会になるかも⁉

この夏の読書の参考にしていただければ幸いです。

また、こちらの記事でも、夏休みの読書感想文にぴったりな児童書(高学年向け)を紹介しています。

この記事と同じく、考察のヒントも紹介しています。

ぜひチェックしてみてください。

●〇今回紹介した本●〇

【低学年】

◆『それで、いい!』
 <礒みゆき 作/はたこうしろう 絵/ポプラ社 刊>

◆『けんかのたね』
 <ラッセル・ホーバン 作/小宮由 訳/大野八生 絵/岩波書店 刊>

◆『うまれてくるよ海のなか』
 <高久至 写真/かんちくたかこ 文/アリス館 刊> 

◆『よるのあいだに みんなをささえるはたらく人たち』
 <ポリー・フェイバー 文/ハリエット・ホブディ 絵/中井はるの 訳/BL出版 刊>

【中学年】

◆『ライスボールとみそ蔵と』
 <横田明子 作/塚越文雄 絵/絵本塾出版 刊>

◆『フードバンクどろぼうをつかまえろ!』
 <オンジャリQラウフ 作/千葉茂樹 訳/スギヤマカナヨ 絵/あすなろ書房 刊>

◆『化石のよぶ声がきこえる 天才恐竜ハンター ウェンディ・スロボーダ』
 <へレイン・ベッカー 作/サンドラ・デュメイ 絵/木村由莉 訳・監修/くもん出版 刊>

◆『給食室のいちにち』
 <大塚菜生 文/イシヤマアズサ 絵/少年写真新聞社 刊>

【高学年】

◆『ふたりのえびす』
 <髙森美由紀 作/フレーベル館 刊>

◆『魔女だったかもしれないわたし』
 <エル・マクニコル 著/櫛田理絵 訳/PHP研究所 刊>

◆『5番レーン』
 <ウン・ソホル 作/ノ・インギョン 絵/すんみ 訳/すずき出版 刊>

◆『大地をうるおし平和につくした医師 中村哲物語』
 <松島恵利子 著/汐文社 刊>

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