小学校3年生になると、国語辞典の使い方を学びます。
学んだときは、自分で調べられることが嬉しくてたくさん調べる子どもが多いです。
しかし、国語辞典の使い方を学ぶ授業が終わると、使う機会が激減する子がいます。
・スマホやパソコンが身近にあり、簡単に調べられる
・大きくて重たいので、持ち運びたくない
・調べたい言葉を探して辞書を引くのが面倒
しかし、そんな子どもたちも、使い方を少し工夫するだけで国語辞典を使うのが楽しくなります。
また、国語辞典をすすんで活用することで、語彙力アップも期待できます。
そこで、子どもが夢中になる国語辞典の活用方法を紹介します。
私が小学校担任時代に実際に取り組んでいた実践方法をお伝えします。
簡単なことから始められるので、おうちでも即実践可能です!
・子どもが自主的に国語辞典を使えるようになってほしい
・小学生がネットではなく国語辞典で調べるメリットが知りたい
・どんな工夫をすれば国語辞典が楽しく使えるようになれるか知りたい
国語辞典を使うメリット
最近ではスマートフォンやタブレットが普及し、一人一台持っていることが当たり前になりつつあります。
そして、インターネットに繋げば知りたいことがすぐに調べられる時代です。
そんな中、わざわざ国語辞典を使う理由は何でしょうか?
学校での子どもたちの学習基準として定められている小学校学習指導要領には、辞書や事典の活用について、次のように記載されています。
辞書や事典の使い方を理解し使うことは,情報化社会において必要な情報を収集したり,語彙を豊かにしたりするために必要な「知識及び技能」である。
【小学校学習指導要領(平成29年告示)解説・国語編より引用】
子どもたちが求めている情報の収集や、語彙力アップのためにも、国語辞典を活用することは必要なのです。
では、インターネットではなく国語辞典を使うメリットはいったい何があるのでしょう?
メリット① 正確な情報がわかる
インターネットで調べると、簡単に情報を手に入れることができます。
しかし、その中には残念ながら誤った情報もたくさんあります。
「こっちの記事はAなのに、こっち記事ではBになっている」
こうなったときに、小学生では正確な情報を取捨選択することが難しいことがたくさんあります。
「インターネットの方が早く調べられると思っていたのに、情報の多さに惑わされて結局時間がかかってしまった」
ということも十分起こり得ます。
そんなときも、国語辞典に記載された内容なら正確なので、安心して調べ学習に取り組むことができます。
メリット② 簡潔にまとめられている
インターネット上には、たくさんの情報があふれています。
しかし、小学生には情報量が多すぎるというデメリットがあります。
調べたいワードを入力してみると、ずらっと並ぶ検索結果。
「どこから見ればいいのかわからない」
「文章が長すぎて、結局調べたいことがわからない」
こんなこともよくあります。
国語辞典は、それぞれの言葉について必要な情報が簡潔にまとめられています。
調べたことをノートに書き残しておきたいときも、わかりやすくまとめることができます。
特に読解力に不安があるお子さんは、情報が簡潔にまとめられている国語辞典を使うことがおすすめです。
メリット③ 一人で調べて解決できる
インターネットでの調べ学習は、小学生一人では解決できないことが他にもあります。
・難しい言葉が使われている
・文章が大人向けで、内容が理解できない
・漢字が読めない
家庭学習でも、質問できる大人が常にそばにいるとは限りません。
そんなときも、国語辞典なら安心です。
小学生用の国語辞典には、小学校で習う漢字が使用されています。
もちろん小学生用なので、小学生が理解しやすい言葉で解説されています。
たしかにインターネットの方が効果的な場面や、インターネットの正しい使い方を学ぶべき場面もたくんあります。
しかし、日常的に子どもたちが調べ学習をするには、国語辞典の方が適しているのです。
国語辞典の活用方法
では、ここからは国語辞典の活用方法を紹介します。
ほんの少しの工夫で、子どもたちは夢中で辞典を使えるようになりますよ。
付箋を使う
意味を調べた言葉のページに、付箋を貼る。
たったこれだけです。
付箋を貼ることで、調べた数が目に見えて増えていきます。
増えていくことが実感できると、子どもたちは充実感が得られ、「もっと調べたい」と思うようになります。
付箋のサイズや柄は、できるだけシンプルなものがおすすめです。
付箋に「このページで何の言葉を調べたか」を一目見て分かりやすくするために、調べた言葉を付箋に書き込む子もいました。
その場合は、文字が書きこみやすい太さの付箋を用意してあげましょう。
また、調べた言葉に印をつけておくと、より分かりやすくなります。
このとき、ペンで印をつけると裏移りして見にくくなってしまうので、鉛筆か赤鉛筆を使うようにしましょう。
手の届くところに置いておく
国語辞典は大きくて重たくて、場所をとります。
そのうえ使用頻度が少ないとなれば、邪魔にならないように奥の方にしまい込んでしまうことが多いです。
そうなると、わざわざ引っ張り出して使うのが面倒になり、ますます使わなくなってしまいます。
しかし、小学校学習指導要領では、次のように記載されています。
辞書の利用については,国語辞典や漢字辞典などの使い方を理解するとともに,必要なときにはいつでも辞書が手元にあり使えるような環境をつくっておくことが重要である。
【小学校学習指導要領(平成29年告示)解説・国語編】より引用】
国語辞典は思いついたときにすぐ手に取れる場所に置いておきましょう。
とはいえ、机の上や本棚に置く場所がないお子さんもいるかと思います。
そんなときは、紙袋や手提げ袋に入れて、机の横に吊っておくのがオススメです。
「箱から出し入れするのが面倒」というお子さんなら、箱から出しっぱなしでもOKです。
お子さんが手軽に辞書が引ける環境をつくることを心がけましょう。
どんな教科でも国語辞典を使う
国語辞典は国語だけでなく、さまざまな教科の学習に活用することができます。
小学校学習指導要領でも、次のように記載されています。
辞書や事典については,調べる学習などにおいて活用できるようにすることが求められ,国語科に限らず,他の教科等の調べる学習や日常生活の中でも積極的に利用できるようにすることが大切である。
【小学校学習指導要領(平成29年告示)解説・国語編】より引用】
では、具体的にどのように活用すればよいのでしょうか?
実際に、私が子どもたちと授業中に活用していた例を紹介します。
例えば、社会科の歴史の学習で、「聖徳太子」について学ぶ場面。
まずは聖徳太子の名前を国語辞典で調べます。
これまでにお伝えした通り、国語辞典は用語の解説が簡潔にまとめられているので、聖徳太子が何をした人か、どんな人物かがすぐにわかります。
そして、おそらくその説明の中に「冠位十二階」や「十七条憲法」などの言葉が出てきます。
そこで今度は「冠位十二階」や「十七条憲法」の言葉を国語辞典で調べて…
というように、自然と言葉がつながって知識が増えていくのです。
このつながりが楽しくて、子どもたちは自然と国語辞典を活用するようになります。
これは社会科以外でも同様です。
算数科なら「直角」「直方体」など。
理科なら「光合成」「水溶液」などのように、どの教科でも国語辞典が活躍します。
この活用法を身に付ければ、わざわざ昔の教科書を引っ張り出してくる必要もありません。
気になったことをさっと調べることができるのです。
まとめ
国語辞典の活用方法を紹介しました。
ここで紹介した活用方法を使えば、自主学習の充実も期待できます。
・授業で出てきた言葉を国語辞典で調べてまとめる
・調べた言葉をまとめるノートを作る
・調べた言葉の意味を教科ごとに書き貯める
このように、さらなる知識と語彙力のアップにつながります。
今回紹介した方法は手軽にできることばかりです。
ですが、私が担任した子どもたちは夢中になって取り組んでいました。
たしかにインターネットも簡単で便利です。
しかし、国語辞典を使う楽しさや便利さも知ることが、お子さんの学習意欲の高まりにつながるかもしれません。
まずは1つ、試しに取り組んでみてはいかがでしょうか?
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